⭐️はじめに
こんにちは!いのうえです。
いきなりですが、ポーチボレーの成功率を上げるために一番重要なことは何でしょうか?
それを知るために、いくつかの失敗してしまったケースを考えてみます。
・ポーチに出るのが早すぎてしまい、相手にストレートを撃ち抜かれた。
・ギリギリまで、ポーチに出るかでないか迷って中途半端になった。
・決まったと思ったら返球されて、ポイントを取られた。
・相手の得意なコースに入ったのにポーチに出た。
・相手はストレートのショットが得意なのにポーチに出た。
全てに共通することは何でしょうか。
『相手にプレッシャーをかけられていない』ということです。
つまり、ポーチボレーの成功率を上げるためには
『相手にプレッシャーをかける』
ということが一番重要になります。
相手にプレッシャーをかけるためには4つのポイントがあります。
まず、ポーチボレーの①心理的な役割、目的を知る。
そのためには②ポーチボレーのタイミングが重要になります。
更に、③コースとポジションを考え、④戦術的なポーチボレーで成功率を上げることに繋げます。
今回はダブルスにおいて、前衛の攻めであるポーチボレーの成功率を上げる秘訣・プレッシャーをかけるための4つのポイントを詳しく解説していきます。
⭐️自己紹介
19歳からテニスコーチをはじめ、デ杯[男子国別対抗戦]直前に実施される男子日本代表合宿に、過去数度参加経験のあるコーチから学んだスキルや技術を生かし、数多くのレッスンを担当経験。25歳からテニス専門店で道具を学び、一人一人お客様に合った商品を提供。
①心理的な役割、目的を知る
単純にポイントを取りに行くことだけではなく、ポーチボレーの心理的な役割や目的は基本的に3つあると考えます。
❶クロスボールを打たせない
→サインプレーによるポーチボレーで相手にクロスボールを打たせない
❷相手にプレッシャーをかける
→成功率を上げる。更に、フェイントが効果的
❸試合の流れを渡さない
→成功することで勢いに乗る
ポイントが取れなかったとしても、相手に気持ち良く打たせないことが出来れば半分は成功と思っても良いと考えます。
とにかく邪魔だな、と思わせることが出来れば◯
そのためには、ポーチボレーのタイミングがとても重要になります。
②ポーチボレーのタイミング(考え方)
✅判断するタイミングと動き出すタイミングが重要
*判断するタイミングは、なるべく早く
ポーチに出るという『判断をするタイミングは早く』します。
ネットを通過した時に、そのボールの深さ、コース、スピードを予測して、ポーチに出るのかを素早く判断しましょう。
*動き出すタイミングはギリギリに
『相手のテイクバックからスイング開始に移り始めたタイミングで動く』
これを逆に考えてしまっている方が多いと感じます。しっかりと頭に入れておきたいです。
タイミングを理解した上で、成功率を上げるためにベストなコースとその後の陣形を考えていきましょう。
③コースとポジションを考える
・成功率を考える
どのコースがベストなのか?
・ポーチ後の陣形が崩れないこと
拾われたらどうするか?
打った後はどう動けば良いのか?
✅ポーチボレーを打つ場所によって変わるポジションとベストコース
✔︎センターラインより中で打つポーチボレー
*ポジション
基本、後衛とのチェンジはなく、ラインを越えずに戻る。
*コース
◎ベストはセンター
・一番ポイント確率が高いのがセンターにボレーがベスト。
・打った後は、その場で構える。
・拾われても角度をつけることが難しいので攻められにくい。
・陣形も崩れない。
◯クロス
・遠くて拾えなそうならアングルにコントロール。
・打った後は、拾われたことを考えサイドをケアする。
△逆クロス
・相手前衛との距離が近いためポイント確率は高いが、拾われたときにオープンスペースを突かれると逆襲を食らう。
・移動しなければいけない距離が長く、陣形を直すのに時間がかかる。
・絶対エースになると判断したならOK。
✔︎センターラインを越えて打つポーチボレー
*ポジション
・基本、後衛とチェンジ
・前衛はそのまま逆サイドへ
・後衛も素早くチェンジをする判断をする。
*コース
◎ベストコースは逆クロス
・陣形が一番崩れにくい
・相手足元を狙うのがベスト。
・前衛はサイドチェンジでそのままステイ
・後衛はサイドチェンジ。
サーブから並行陣を取るならば、サーバーは前に出てからセンターを守る。
◯センター
・前衛はポーチボレー後にその場にステイして準備
・後衛はサイドチェンジ。
・サーブから並行陣をとるならば、サイドチェンジか、2人でセンターを守る形。
△クロス
・陣形が崩れやすい。
・精度の高いアングルショットが必要。
・ストレートはガラ空き。
・2人の間にオープンスペースができてしまうので、前衛はポーチボレー後サービスライン付近まで後退
・後衛はサイドチェンジ。
・サーブから並行陣を取るならば、サイドチェンジからポーチボレーの打球方向に詰める。
これらが、前衛の基本的なポーチボレーの考え方です。
またポーチボレーは、様々な応用を効かせることで相手によりプレッシャーをかけることができます。
✅応用編
✔︎サーバーがセカンドボレーでポーチボレー
・ポジション
サーバーがファーストボレーからネットに詰めて、セカンドボレーでポーチに出る場合のコースと打った後の陣形ポジション。
*コース
◎ベストコースは逆クロス(相手前衛側)
・相手前衛の足元を狙うのがベスト
・自分達の陣形は崩れにくい
・サーバーはポーチボレー後に、少し外側に移動してストレートをケア
・前衛は「T」字付近まで下がり、センターとロブをケアします。
◯センター
・ポーチ後の陣形は2人でセンターケア
・サーバーはポーチ後にその場でステイして返球準備
・前衛は「T」字付近まで下がり、センターケアします。
△クロス
・陣形は崩れやすい
・エースをとりにいくならOK
・サーバーはポーチボレー後、サービスライン付近まで後退。
・前衛はサーバーがポーチボレーをする時には、後退をして、ポーチボレー後に再び、ストレートをケアするように前進しなければいけない。
✔︎レシーバー側の前衛ポーチボレー
相手サーバーのファーストボレーをポーチ。プレッシャーを与えることが出来る。
・リターンが相手サーバーの足元に沈んだらポーチ
・リターンのコース上に1歩ネットに詰めてからポーチに出る。
・リターンを打った後衛はサイドチェンジの準備をしておく。
・ファーストボレーをストレートに誘う
*レシーバー側のポーチが決まると、相手サーバーはファーストボレーをストレートに打ちたくなる。
その時に、ファーストボレーをストレートに誘う動き方があります。
1歩踏み込む方向をリターンのコース上ではなく、センターラインに沿って動きます。
相手サーバーは、再びポーチされることを恐れてストレートに配球して来たところを、待ち構えるように斜め前に前進し、ボレーをします。
④戦術的なポーチボレー
サインプレーのポーチボレーによって
・クロスを打たせない。
・コースを限定させる。
・戦術的に陣形を作る。
相手に自分達の動きを注目させて、注意力を奪いミスを誘う
✅サインプレーによるポーチボレー
通常であれば、ストレートを抜かれないことを考えて相手がフォワードスイングに入ったタイミングで動き出すのがベストです。
しかし、サインプレーになると役割がはっきりとします。更に、ストレート方向は後衛がカバーに入るので、動き出すタイミングは変わってきます。
✔︎役割
・クロスボールを止めること。
・サインプレーの成功はクロスに強いボールを打たせないこと。
なので、相手がロブやストレートに打ってきた場合でも半分成功と言ってもいいでしょう。
✔︎動き出すタイミング
・相手がテイクバックを終えるあたりのタイミングで動き出す。
・サインプレーのが早いタイミングで動き出します。
✅レシーバー側前衛のサインプレーのポーチ。
威力が落ちやすいセカンドサーブで、相手にプレッシャーをかけたい時、レシーバー側はポイントが始まる前にサインプレーでのポーチを決めておきます。
✔︎陣形
リターン後、2人はサイドチェンジをします。
・前衛
1歩前進後、早めに動き出しクロスボールをポーチ。
・後衛
ストレートをケアするようにサイドチェンジ。
サインプレーによって、更に相手にプレッシャーをかけて気持ち良くプレーをさせなくすることが出来ます。ボールの威力や、コントロール力だけでなく、心理面への攻撃を仕掛けて、相手を崩していくことができます。
⭐️まとめ
①役割、目的を知る
❶相手に気持ち良くプレーさせない
❷クロスボールを打たせない
❸プレッシャーをかける
②ポーチボレーのタイミング
*判断は早く、出るタイミングはギリギリに
*動き出すタイミング
相手がテイクバックを終えるあたりのタイミングで動き出す。
③ポジションとベストコース
*センターラインを越えない
・ベストコース センター
・陣形 チェンジなし
*センターラインを越える
・ベストコース 逆クロス
・陣形 チェンジあり
④戦術的なポーチボレー
サインプレーでポーチボレーをより戦術的に
目的
・クロスボールを打たせない
・プレッシャーを与える
・コースを限定
・相手の注意力を下げてミスを誘う
⭐️さいごに
ダブルスでのポーチボレーは相手にプレッシャーをかけるために積極的に使いたい戦術です。
ポーチボレー自体がポイントにならなくても『相手に邪魔だな』と思わせることで相手のミスを誘うことも大事です。
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記事:井上馨