・ はじめに
新型コロナ対策として、栄養状態を保つことは予防策の一つだと思います。
そして、もっとも有効なのが「ビタミンD」です。WHOも「上気道炎の予防にはビタミンDが有効」のコメントしています。
それに付け加え、日本人はビタミンDの欠乏症にあるということをどれだけの人が理解をし、普段の食生活を過ごせているでしょうか。
『人は食べたもの』で、できています。免疫力も食べたものから生まれます。世界的大流行をしてしまっている新型コロナ対策としても、今一度、食生活をしっかりと考えていきたい現実があります。
・ ビタミンDとは?
「カルシウムの吸収や骨の成形を助けてくれる役割」「ホルモン分泌の調節」「免疫の調節」といった役割をもつビタミンです。カルシウムの吸収が助けられ、強い骨が維持される。
ステロイドホルモンの一種で「免疫増強作用」「動脈硬化」「糖尿病の予防」「筋力の維持」「脳神経機能の維持」などさまざまな働きをもつ栄養素です。
基本的には「日光を浴びる」ことで皮膚において生成されます。ウマやウシなどの野生の草食動物が草しか食べていないのに、とても頑丈でパワフルな体をしています。その一つの理由が、一日中外にいて「日の光を浴びている」からです。
・ 日本人のビタミンD欠乏症
今、日本人は深刻な
ビタミンD欠乏症
にあります。
日本人の男性は70%、女性は90%の人にビタミンDが足りていないと言われています。ビタミンDは鮭や青魚などからも摂取できます。しかし、今の日本人は
「日の光を浴びない」→日焼けしたくない
「魚を食べない」 →食生活の欧米化
現代人のビタミンD欠乏症については、アメリカでは20年前からわかっていたことです。ビタミンDはサプリメントで摂取でき、非常に安価にもかかわらず、日本人はその事実を知らずに食生活を送ってしまっているということです。
・ タンパク質の過剰摂取は控えた方が良い
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015」によれば、一日あたりのタンパク質平均必要量は成人男性で50g、成人女性で40gと定義されています。
タンパク質が豊富な食品、特に「肉」は比較的カロリーが高いです。
タンパク質をもっと多く摂りたい一心で、たくさん食べてしまうと結果的にカロリーオーバーとなり肥満を招くということにもなりかねません。
アメリカの栄養学で結論が出揃いつつあり、1日の総摂取カロリーの半分は糖質が良いという方向性が見えてきました。
おおよそ成人男性の総摂取カロリー「2000kcal」とするなら「糖質1000kcal」で良い。
糖質は1gで「4kcal」なので「糖質は250g」はOKということになります。
げんこつひとつ分の白米で糖質は「50g」程度です。カレーライスを1皿食べれば「100~150g」に達してしまう。
◇ 『肉より野菜』
極端に制限すると必ず「肉」か「脂」に行くので、それは危険だと栄養学やアンチエイジングの世界ではタンパク質の過剰摂取は控えた方が良いという流れに変わってきています。
「肉を食べてはいけない」ということではなく
「野菜だけでもパフォーマンスが劣らぬくらい向上する」ということです。
考え方としては『肉より野菜』ということです。
冒頭でお伝えしたように草食動物の頑丈でパワフルな体を見れば、納得できるかと思います。
・ グルテンフリーの流行
糖質制限しかりですが、たとえば欧米でグルテンフリーが流行し日本でもグルテンフリーの食品が目につくようになりました。
しかし、そもそもグルテンフリーが流行したのは、欧米人にグルテンアレルギーがあるグルテン不耐性の人が多いことが理由です。
日本人は欧米人ほどグルテン不耐性(生まれつき抵抗力を持っているものに対して、その抵抗力が失われて弱くなっている現象)の人の割合は高くありません。
学問としての栄養学では、やはり「バランス」がもっとも重要なのです。
過剰に摂取している部分は抑えて、口にすることが少ないものを取り入れる。
食物繊維、小魚や青魚中心の本来の日本食に戻ることは栄養学上、非常に効果的と言えます。
正しい栄養学に基づいていれば、日常の食生活の習慣を少し改善するだけで、十分効果を得られます。
・ 一日に摂取したいビタミンDの目安量
日本人の食事摂取基準(2020年版)では1日の摂取の目安量18歳以上の男女ともに「8.5μg」、耐用上限量が「100μg」設定されています。
※その量は、季節や屋外活動量などの要因によっ て大きく左右されることから、各個人におけるビタミン D 摂取の必要量は異なります。
※通常時の耐用上限量を参考に、適度な摂取が大切です。
・ おすすめの食べ物
❶鮭
心臓の健康に良いオメガ3脂肪酸をはじめ、タンパク質、ミネラル、ビタミンDを供給。
ビタミンDは一切れ約80gにつき約25.6μg
❷ヨーグルト
ビタミンDを強化したヨーグルトには、約170gにつき約2μgのビタミンDが含まれている。
❸牛乳
ビタミンDを強化した乳飲料の場合、コップ1杯につき、約3μgのビタミンDが含まれている。
❹ツナ缶
低脂肪のタンパク質とビタミンDの理想的な供給源で、オメガ3脂肪酸やカリウム、リン、ビタミンAなどもたっぷり含まれている。
ビタミンDは1缶当たり約85gにつき約3.85μg
❺卵
重要なのは黄身。黄身部分にはビタミンDは1個につき約1μg。
❻牛のレバー
高品質なタンパク質も供給できる。ビタミンDは約85gにつき約1μg。
また、鉄分(細胞の健康に良い)、亜鉛(免疫機能の調節に良い)、ビタミンA(目の健康に良い)、そして葉酸(DNA修復を助ける)が凝縮されている。
❼特定のきのこ類
きくらげ2枚2g(約1.7μg)、干ししいたけ2個6g(約0.8μg)
❽しらす
ビタミンDがとても豊富なのが「しらす」です。
生は100gあたり6.7μg
半乾燥品は100gあたり61μg
・ 日の光を浴びる時間の目安
ビタミンDを作るための日光照射の目安として顔と両手両足に1週間に2~3回夏季で約5~15分を薦めています。
また、環境省は「両手の甲に1日1回、日向で約15分あるいは日陰で約30分」を薦めています。
・ おすすめの調理方法
ビタミンDは脂溶性ビタミンといって「油に溶けやすい性質」を持っています。油で炒めましょう!
ドレッシングにはノンオイルではなく、油が使われているものを選ぶなど、油と一緒に摂ることでより吸収されやすくなります。
逆に、揚げ油にビタミンDが溶け出してしまうため、ビタミンDの摂取を目的とする場合は素揚げはあまりお勧めできません。
・ さいごに
新型コロナ感染死者数は世界全体で3万人を超えました。
感染者も70万人を超え、世界的大流行は依然として続いています。
新型コロナ感染症は高齢者や既往歴がある人ほど、重症化しやすいことが分かっています。
来年夏に開催予定の東京オリンピックが無事に開催され、「平和の祭典」となることを願うばかりです。
そのためにはまず一人一人の意識を高めていくことが、大事なのではないでしょうか。